2012年8月9日木曜日

3.2 プレゼンテーションの真の目的



 相手のことを、相手の思考を、考えに考えて話したとき、伝えたいことがようやく伝わり始める。では、続いてプレゼンテーションのゴールとは何であろうか。当然ながら、「分かりやすく説明すること」ではない。プレゼンテーションの真の目的とは次の3つだ。

「聞いている相手の頭で、こちらの思惑通りの理解をさせること」
「相手に言わせたいことを言わせること」
「相手にさせたいことをさせること」

 たどたどしいプレゼンテーションでも構わない。思惑通りの理解をさせることができたのであれば。
たとえ1分のプレゼンテーションでも構わない。相手に言わせたいことを言わせることができたのであれば。相手に言わせたいこと、それはすなわち求めていた意思決定の言葉である。求めていた次のタスクを指示する言葉である。
たとえ1枚の資料によるプレゼンテーションでも構わない。相手にさせたいことをさせることができたのであれば。例えば、自分のプレゼンテーションの結果をうけて、相手の部長が、役員に次の展開のための資金を掛け合ってくれることができたのであれば。

会議の場で、お互いの意見を持ち寄り、議論を戦わせることも非常に重要である。議論に議論を重ね、より良いアイデア、より良い方策を検討する際にはそれでもいいだろう。ただ、次のステップや意思決定につなげるためにプレゼンテーションをする必要があるのであれば、相手が何を考え、何に注意を払っているのか。そのことを何よりも細心の注意を払って理解する必要がある。それは時には会議とは全く関係のないものであっても良い。例えば、息子の受験に気を揉んでいる。それが一番の関心事ということもありえる。会議の雰囲気作りのために、そうした話題から始めることも非常に重要だろう。
ただひたすらに、わかりやすく説明するためのプレゼンテーションの練習に時間を費やすならば、どのような言葉を選べば、自分と相手が同じ理解を得られるのか。そうしたことに不断の努力を払うことの方が非常に重要である。

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